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2017年5月14日() シイタケほだ場のイタチタケ
 近くのシイタケほだ場もすっかり乾ききっていて、成長し始めていたフクロシトネタケの仲間は萎んで干からびてしまった。新たな子嚢菌の発生はみられない。
 その一方でボロボロになった榾木からイタチタケが出ていた(a〜d)。束生していた二株ほどを崩れないように慎重に持ち帰った。採取したばかりのヒダは整っていたが(e)、数時間放置しておいたらシワシワになってしまった(f)。カサと柄を縦切りにしてみた(g)。直生とか上生とかヒダの柄に対するつき方を確認するにはキノコを裏側から見ればわかるが、他人に説明したり図に起こす場合には、こうやって切って示すことが多いようだ。カサの一部をまとめて切ってルーペで覗くと、ヒダ表面の子実層にシスチジアらしきものも見える(h)。
 久しぶりにイタチタケを顕微鏡で覗いてみた。胞子を水道水(i)、5%KOH(j)、濃硫酸(k)で封入してみた。KOHでは厚壁がよくわかり、濃硫酸では発芽孔がより明瞭にみられる。
 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみた(l)。倍率を上げてみると縁シスチジアの存在がわかる(m)。そこでヒダを数枚まとめて断面を切り出してみた。親ヒダの縁が欠けてしまったが小ヒダの先端は無事だ(n)。その子ヒダ先端を拡大してみると縁シスチジアが見えた(o)。側シスチジアもよくわかる(p)。押しつぶしてシスチジアをフロキシンで染めてもみた。
 カサの部分を縦に薄切りにして(q)、表皮部分を倍率を上げて見た。上表皮層は丸っころい細胞状になっている(r)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 保育社図鑑によれば、イタチタケ亜属のイタチタケ節のきのこは、シスチジアは嚢状で、側シスチジアはないかまたはごくまれだ、と書かれている。しかし、ここで取り上げたイタチタケには側にも縁にも多数のシスチジアがあり、その形も嚢状あり、フラスコ状ありだった。
 厳密な分類を志向する人ならば、これはいわゆるイタチタケではなく変種ないし別種の扱いをするのかもしれない。ちなみに、頻度は低いがクランプもある。