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2017年5月17日(水) 泥からよりコケの中からが絵になる
 日光市ではキツネノワンやキツネノヤリタケが盛りを迎えている。例年と比較すると10日ほど遅い。木々の新緑が始まる今の時期はコケの春といえる。気温が上がり、昼が長くなり、樹木の葉は未だ疎で地面まで太陽の光が届く。小さなコケにとって陽の光をたっぷり浴びて、新鮮な若葉を延ばしたり朔(凵Fcapsule)を作るのには良い時期だ。
 野生のクワの樹下にはしばしばコツボゴケがよく繁殖している。でも土くればかりでほとんどコケが見られない環境もある。キツネノヤリタケはそういったまわりの環境にはおかまいなしに発生してくる。土の中から出てくるものは保護色もあって分かりにくい。
 一方コケの中からでてくるキツネノヤリタケは遠目にもその存在がすぐに分かる。さらに、土の中からでているものよりも鮮やかに冴えてみえる。きのこにとっては、そんなことは関係ないよと言いたいところかもしれないが、この仲間はやはりコケの中から出るものが美しい。
 
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 「遠目にもその存在がすぐに分かる」などと書いたが、これは嘘だ。たとえコケの中にあっても、その気になってクワの樹下を熱心に探さないと見つからないケースが多い。いっぽう、養蚕農家の桑畑などでは、樹下一面にキツネノヤリタケやキツネノワンが見られることがある。そこにはたいていコケなどないが、発生量の多さでよく目立つ。