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2017年6月9日(金) こんなきのこに手を出しちゃいけない
 先日中禅寺湖畔のブナ林でブナの殻斗からでていたブナノシロヒナノチャワンタケを持ち帰ってしまった(a〜c)。ということはミクロの世界を一通り確認するということになる。
 ところがこれが失敗だった。まず、これらの殻斗はいずれも落葉の下にあり、そこから出ていたきのこはほとんどが泥と落葉の破片にまみれていた。さらに乾燥続きのためいずれも縮れて丸まっていた。悪いことに数日放置してしまったのできのこはさらに丸まっていた。
 とりあえずその状態のまま切り出してみた切片はゴミだらけで使い物にならなかった。そこで、まず水没させて、精密ピンセットでゴミをていねいに取り除いた(d)。すると困ったことにほとんど半透明になってしまった(e)。これは剃刀の先で少し触れただけで簡単に崩れてしまう。そこで、スライドグラスの上に1時間ほど放置して乾かした(f)。
 これがもっといけなかった。乾いたきのこはスライドグラスにベッタリ貼りついてはがれない(f)。チャワンの部分の切片を作ろうと無理やりはがすと、みな崩れてしまった。あきらめて切り出したのが(g)の切片。チャワンの縁には剛毛があり(h)、これには隔壁もある(i)。水封では胞子が捉えられたが、子実層や子嚢はよくわからない(j)。
 次いで再び崩れたきのこから切片を切り出してメルツァー試薬で封入した(k)。この段階ですでにかなり崩れている。でも子嚢先端の孔が青色にそまり、胞子の入った様子もわかる(l)。子嚢盤の縁に生えている剛毛の表面には微細な疣があることもわかった。

 小さな脆いきのこの断面を切り出そうと思えば、ゴミなどもついていない子実体を選んで、それを半乾燥状態のときに切り出すのがよさそうだ。水洗いなどもってのほか。完全に乾燥してしまうと、今度は剃刀を当てただけで細かく砕けてしまう。もっとも賢いのは、ちっちゃなきのこになど手を出さないことだ。賢い人はこんなバカなことはしない。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)