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2017年8月5日() 腐敗の始まったきのこは難しい
 先日那須塩原市の都市公園を散策していた時、芝生に小さな黄橙色の繊細なきのこが群生していた(a〜d)。帰宅後すぐに胞子紋をとり、胞子を対物40倍(e)、対物油浸100倍(f)で覗いた。この胞子を見るとEntoloma(イッポンシメジ属)だということがわかる。
 ヒダやカサ表皮の検鏡をするつもりで、いったんは冷蔵庫に保管したが、結局そのまま放置してしまった。何日かして再び取り出してみると、すっかり腐敗が始まってヒダに触れただけでズルっと崩れてしまう(g)。なんとか無理してヒダ切片(もどきだね!)を切り出した(h)。
 ヒダの先端を見てもシスチジアらしきものが見えない(i)。そこで崩れたヒダから何とか縁の部分をつまみ出して縁をみた。透明でコントラストが弱くて何も見えないのでフロキシンで染めてみた。すると薄膜で棍棒状の縁シスチジアらしきものが見えた(j)。
 そこでこのプレパラートの縁からKOHを注いで、カバーグラスの上から押しつぶしてみた。すると縁シスチジア(k)、担子器(l)などがはっきり見えた。縁シスチジアは棍棒状のものばかりではなく、洋ナシ形のものもあったが、いずれも薄膜だ。カサ表皮は検鏡できなかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 わざとらしく、ああでもないこうでもないと書いたが、これにはシバフウラベニタケという和名がついている。それにしてもいったんグズグズに崩れたり腐敗が始まったきのこでは、ヒダの切り出しはほぼ不可能だ。それを無理やり切り出したところで得られる情報は乏しい。
 どうせ検鏡するのであれば、まだ新鮮なうちに見るか、帰宅後すぐに乾燥標本としてそれを見るのが定石だ。冷蔵庫に保管しておいても、ものによっては数日で腐敗したり、きのこ内部に住む虫に食われてボロボロになってしまう。特に気温と湿度の高い夏はいけない。