HOME  駄言駄菌:INDEX back


2019年6月11日(月) 久しぶりにヒノキオチバタケで遊んだ
 今朝は気温が低くどんより曇って風が強く、6月だというのに寒かった。三日ぶりに散歩で城山に登った。杉林の中の暗いハイキングコースの脇にヒノキオチバタケがあちこちで群生していた(a, b)。三日前にはまったく見られなかった。
 久しぶりに12〜13本のきのこをつけた杉の葉を持ち帰った(a)。30分ほどで胞子紋がたっぷり落ちた。胞子を水封(c)とメルツァー試薬で封入(d)してみた。この仲間(シロホウライタケ属 Marasmiellus)の胞子はみな似たような形で非アミロイドだ。
 ヒノキオチバタケやアシグロホウライタケなどはとても面白い形の縁シスチジアを持っている。図鑑などでは樹状と記されているようだ。ヒダを一枚スライドグラス上に寝かせて縁をみた。倍率を上げて縁をみると確かにそれらしいシスチジアがある(e)。見やすくしようとフロキシンで封入してみたが(f)、ヒダの厚みが邪魔をしてよくわからない。
 そこでこれをKOHで封入して押しつぶして見た。対物40倍レンズで見ると、確かに何とも奇妙な姿の縁シスチジアがある(g)。これらを油浸100倍レンズで眺めてみた(h, i)。カサ表皮のシスチジアもやはり似たような姿をしている(j, k)。担子器も念のために確認した(l)。菌糸には豊富にクランプがある。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 持ち帰ったヒノキオチバタケはいずれもカサ径3〜4mmの小さなものばかりだったが、30分ほど机上に置いておいただけで、カサがすっかり丸まって径1〜2mmほどになってしまった。このきのこは過去に何度かじっくり観察しているが(雑記2012.6.12、etc.)、日光に転居してからは二年ぶりのようだ(駄言2017.5.22)。