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[標本番号:No.93   採集日:2007/01/31   採集地:東京都、奥多摩町]
[和名:コセイタカスギゴケ   学名:Pogonatum contortum]
 
2007年2月8日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 1月31日の奥多摩海沢では、スギゴケ科の蘚類を2ヵ所で採取した。そのうちのひとつ、林道の陽当たりのよい岩壁から出ていたものを調べてみた(a, b)。茎は分枝せず、高さは3〜7cm。葉は厚ぼったい感触で、長さ5〜8mm、乾燥すると強く巻縮する。
 葉をとりだして、顕微鏡で覗くと厚みのせいで葉身はほとんど黒々とみえる。全体の姿はまるで羽をつけたロケットのようだ(c)。葉の周囲には歯があるが(e)、葉鞘にも歯をもっている(d, f)。葉の縁は2細胞の厚みがある。葉の上面は一面に薄板に覆われ、薄板は横断面で3〜4細胞の高さで、上縁は平らかやや凹んだものが多い(j, k)。葉鞘部の横断面では、薄板がそのまま表皮細胞として埋没したような姿をしている(l)。
 朔はフェルト状の密生した毛の帽をかぶり、蓋は短く尖っている(b, g, i)。朔歯は32枚。朔の壁には乳頭がある(i)。朔柄は平滑である。
 特徴的なのは、葉鞘部に歯をもっていること、葉縁が2細胞からなっていること、薄板の最上面がほぼ平らであること、などだろうか。コセイタカスギゴケ Pogonatum contortum だろう。以前観察したコセイタカスギゴケ(覚書2007.1.6)はあまりにも非典型的なものだったが、今回観察したものは、かなり特徴的な姿を呈しているようだ。