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[標本番号:No.103   採集日:2007/02/12   採集地:静岡県、静岡市]
[和名:ハイゴケ   学名:Hypnum plumaeforme]
 
2007年2月18日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 標高1,200mほどの南アルプス南部の林道で、ハイゴケ Hypnum plumaeforme の大きな群落に出会った(a, b)。例年なら数十センチ〜1メートルの積雪がある地域だが、今年はほとんど雪がない。道脇には、他にもいろいろなコケが見られた。昨年11月9日に日光市で出会ったものと比較して、赤褐色の色味が強く、全体にやや小振りだ(覚書2006.11.18)。
 バラバラにしてみると、緑色(緑褐色)の部分は、表面の一部だけで、茎の長さの60〜70%は茶褐色で枯れたような姿をしている(c)。先に詳細に観察しているので、今日は別の視点からみることにした。この仲間の茎には毛葉がなく、葉の基部に仮根も見られない(d)。
 太い茎につく葉(e)と細い枝につく葉(f)を比較すると、茎葉が枝葉よりやや幅広で大きい。先端が鎌状に曲がり短く淡い二叉する中肋や、翼部のようすは同じである。枝葉について、葉頂(g)、葉の中央部(h)、翼部(i)の細胞を計測してみた。葉身細胞の幅は2.5〜3μm、長さは40〜65μmで、細胞膜はやや厚めだ(g, h)。翼部の細胞は図鑑に記述されているように、大きい(i)。
 底の方を這う茶色い茎と、先端部の細い枝の両者の横断面を、同一倍率で比較してみた。両者とも中央付近に薄膜で大きな細胞が位置し、それを取り巻くように厚膜の小さな細胞がある。その表皮部分の細胞層の厚みに違いがある(j, k)。
 葉の横断面を何度か切り出してみたが(l)、なかなか中肋部を含む面で切り出せない。太めの茎を切り出したとき、その茎についていた葉の基部の横断面を、幾度となく垣間見ることができた(j)。それらはどれも、中肋の付近の細胞が2層になっていた。