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[標本番号:No.127   採集日:2007/03/04   採集地:埼玉県、皆野町]
[和名:オオクラマゴケモドキ   学名:Porella grandiloba]
 
2007年3月11日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 3月4日、埼玉県皆野町でセツブンソウの群落の間の大岩の到るところに暗緑色の苔類がついていた。陽があたる部分はすっかり乾燥して縮れ(b)、朝露の残る日陰では瑞々しい姿をみせていた(c)。ルーペで腹面をみると、クラマゴケモドキ属らしいことは見当がついたが(d)、細かな部分がよく分からないので持ち帰ってきた。
 茎は結構長く5〜15cmほどあり、不規則に分枝し、中には長さ5cmに及ぶ枝もある。葉の背片は卵形で、丸頭、腹片は細長い舌状で、いずれも全縁でキールは短い。腹葉は卵形だが切頭状態で全縁(e〜g)。葉身細胞は25〜45μmの丸みを帯びた多角形(h)。
 ここまで観察してほぼオオクラマゴケモドキ Porella grandiloba だろう思った。昨年11月に観察した結果とほぼ同様であった(覚書2006.11.3)。採取したコケの別の部分をみていると、葉の背片の先が尖ったものがみつかった(i)。すぐに、ヒメクラマゴケモドキが混生していようだから、ルーペでよく観てより分ける必要があるかもしれない、そう思った。
 ところが、同じ枝から出ている別の葉をみると、丸頭の葉もあれば、鋭く長くとがったものもある。中には、枝の左側の葉は尖り、右側の葉は円頭といったものもある(j)。同じ茎から出ている別の枝をみると、大部分は円頭である。さらに、造卵器を包む苞葉の近くでは、背片も腹片もまるでクラマゴケモドキの葉のように、葉縁がいくつもの長歯で囲まれている(k, l)。ただ、歯のながさはいずれも短い。造卵器をバラしてみたが、やはりオオクラマゴケモドキのものと同じだ。やはりヒメクラマゴケモドキが混じっていたのではなく、葉縁の形状は偏倚の範囲なのだろう。