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[標本番号:No.291   採集日:2007/07/21   採集地:三重県、大台町]
[和名:ヒメクラマゴケモドキ   学名:Porella caespitans var. cordifolia]
 
2007年7月30日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 三重県の宮川村で石灰岩についていた苔類を採取した。現地で最初に見たときはオオクラマゴケモドキだろうと思ったのだが、近づいてみると何となく様子が違う(a, b)。どこがどう異なるのかまではよく分からなかったが、ルーペでみると葉先が尖っている(c)。
 植物体は濃い緑褐色で、厚いマットを作り、茎は長さ4〜8cm、羽状に分枝する(d)。葉の背片は卵形で先端が鋭く長く尖り(e, g, h)、倒瓦状についている(e)。腹片は狭い舌形で先端は丸く全縁(f, g)。腹面には、短かい枝状の花被らしきものもみられる(f)。苞葉の縁は細かな歯で囲まれる。腹葉は、茎幅より若干幅広の台形で、先端両角に細長い歯がある(f, i)。
 葉身細胞は丸みを帯びた多角形〜類円形で、長径12〜20μm、細胞膜が厚くトリゴンは大きい(j)。茎を横断面でみると、組織の分化はほとんど無く、表皮組織は小形厚膜の細胞からなっている(k)。花被らしき部分から雌苞葉をはずしていくと、造卵器が出てきた(l)。

 側葉の背片先端が長く鋭く尖り、葉の基部がひろく茎を被って張り出す。また、腹片が切頭型であること、葉身細胞もオオクラマゴケモドキより若干小さいこと、などから、ヒメクラマゴケモドキとしてよいと思う。今年の3月にオオクラマゴケモドキを観察した時に、少量のヒメクラマゴケモドキが混生していたが(標本No.127)、今回は、オオクラマゴケモドキがわずかに混じっていた。