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[標本番号:No.299   採集日:2007/08/22   採集地:山梨県、鳴沢村]
[和名:イワダレゴケ   学名:Hylocomium splendens]
 
2007年9月6日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 富士山の山梨県側標高1,900m付近はシラビソとコメツガの樹林帯であり、樹下にはイワダレゴケが絨毯状にどこまでも広がっている。場所によっては、80〜90%以上がイワダレゴケだ(a〜d)。先に同じ富士山の標高1,200〜1,750m付近を歩いたときにも似たような状況だった(2007年6月26日)。前回の6月以降に、八ヶ岳、日光などでも、多くのイワダレゴケにであった。今回観察したのは、同じ富士山の標高1,900〜2,300m付近で、見た目の印象がやや違っていた。
 茶褐色の茎に疎らについた茎葉は、急に細くなった葉先が激しく屈曲する(e)。葉身細胞は、線形〜ウジ虫状で、長さ50〜90μm、幅4〜6μm、枝葉に比較してずっと太くて長く、基部ではさらに大きく、細胞壁も厚くなる(f)。葉縁はほぼ全縁で、弱い中肋が二本ある。
 
 
 
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 茎葉と枝葉とでは、大きさがかなり異なる。同じ枝葉でも主枝と支枝とではやはり大きさにかなりの差がある(g)。枝葉は卵形で深く凹み、先端は鈍頭、葉縁は小さな歯があり、二叉する中肋が葉長の1/3あたりまで伸びる(h)。葉身細胞は、線形で長さ40〜60μm、幅2〜4μm、茎葉と比較してずっと小さく、葉先ではやや短く(i)、葉身中央部や基部でも(j, k)、大きさと形はあまり変わらない。枝葉の横断面は弱々しい(l)。
 茎や枝の表面は異形の毛葉に被われる(m, n, q)。茎や枝の縦断面(o)、横断面(p)をみると、表皮細胞は厚壁で小さく、中心束はみられない。枝先のいたるところに茶褐色の房状の構造が見られるので、確認してみると、仮根であった(r)。