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[標本番号:No.371   採集日:2007/10/28   採集地:東京都、青梅市]
[和名:ギボウシゴケモドキ   学名:Anomodon minor ssp. integerrimus]
 
2007年12月10日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 10月28日に行われた岡モス関東の観察会の時、標高320mあたりの石垣についていたコケがすっかり忘れ去られたままとなっていた(a)。生態写真は撮っていない。葉が茎や枝に密着していたが、水没させて5分ほど放置すると、緑色が戻り葉も茎から開出した(b)。
 植物体は、不規則な羽根状に分枝し、二次茎は長さ1〜5cm、扁平気味に左右に広がるように葉をつける(a〜c)。二次茎や枝の葉は舌形で、基部はやや広い卵形で、長さ1〜1.5mm、厚ぼったくずんぐりした印象を受ける。葉縁は全縁で、中肋は他より明色で、葉頂近くまで達するが、先の方では曖昧に消える(d, e)。
 葉身細胞は、方形〜矩形で、葉頂や葉縁ではやや小さく、長さ6〜10μm、表面には多数の小乳頭があり、合焦位置によっては葉身細胞の形態は不明瞭(f, g)。葉の数ヶ所で横断面を切り出してみたが、いずれも中肋にステライドはなく、葉面もほとんど1細胞層からなる(e, h, i)。茎の横断面に中心束はなく、表皮は厚壁で小さな細胞からなる(j)。

 どうやら典型的なギボウシゴケモドキ Anomodon minor ssp. integerrimus のようだ。以前、ギボウシゴケモドキと同定した標本No.68(2007年1月11日観察)では、葉身細胞が2層になった葉が非常に多かった。あらためて標本No.68を再検討して、[修正と補足] を加えた。