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[標本番号:No.804   採集日:2009/12/02   採集地:埼玉県、越生町]
[和名:ハネヒツジゴケ   学名:Brachythecium plumosum]
 
2009年12月11日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
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(o)
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(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(a) 植物体、(b) 標本、(c) 乾燥時、(d) 湿時、(e, f) 茎葉、(g) 茎葉の葉身細胞、(h) 茎葉の翼部、(i, j) 枝葉、(k) 枝葉の葉身細胞、(l) 枝葉先端、(m) 枝葉の翼部、(n) 枝葉の横断面、(o, p) 苞葉、(q) 苞葉中央部、(r) 苞葉基部

 埼玉県の観光地黒山三滝の近くの明るい岩上に、やや光沢を帯び朔を多数つけた蘚類が出ていた(alt 330m)。ルーペでみると卵状披針形の葉には中肋が1本あり、朔柄の上部がざらついてみえる。どうやらアオギヌゴケ科 Brachytheciaceae の蘚類のようだ(a)。

 茎ははい、不規則に分枝し、一部の枝葉立ち上がり、葉は乾燥しても縮れたり茎に接することなく、湿時とあまり変わず、枝は葉を含めて幅1〜2.5mm(b, c, d)。茎の横断面には弱い中心束があり、表皮はやや厚膜で小形の細胞からなる。茎の表面に毛葉や偽毛葉はない。
 茎葉は大きく開出することなく、広卵状披針形〜三角状披針形で鋭頭、長さ2.0〜2.3mm、葉縁には微細な歯がある(e, f)。中肋は1本で、葉長の2/3〜4/5に達する。茎葉の葉身細胞は長い楕円状六角形〜線形で、長さ35〜65μm、幅5〜8μm、薄膜で平滑(g)。翼部はあまり発達せず、やや幅広で短い矩形の細胞が連なる(h)。
 枝葉は、卵状披針形で鋭頭、長さ1.5〜2.0mm、茎葉より細身で、葉縁の様子や中肋の様子は茎葉とほぼ同じ(i, j)。枝葉の葉身細胞は線形で、長さ40〜70μm、幅5〜8μm、薄膜、平滑(k)。葉頂では葉身細胞は短く(l)、翼部の細胞は茎葉とほぼ同様(m)。
 苞葉は、矩形の基部から細身となって先端は長く延び、長さ1.0〜2.0μm、中肋が葉長の2/3に達し、葉縁はほぼ全縁。苞葉の葉身細胞は、線形で、長さ50〜80μm(q)。苞葉基部の細胞は方形で、長さ30〜60μm、幅10〜15μm(r)。
 

 
 
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(x)
(x)
(y)
(y)
(z)
(z)
(aa)
(aa)
(ab)
(ab)
(ac)
(ac)
(ad)
(ad)
(s) 朔と帽、(t) 朔、(u) 朔柄上部、(v) 朔柄上部の乳頭、(w) 朔柄下部、(x) 朔下部にある気孔、(y) 朔歯、(z) 外朔歯、(aa) 外朔歯下部、(ab) 内朔歯、(ac) 内朔歯上部、(ad) 胞子

 朔柄は長さ1.5〜2.0cm(b)、上部にだけ乳頭があり(u, v)、半ばから下では平滑(w)。朔は傾いてつき非相称、長卵形で長さ1.8〜2.2mm、円錐形の蓋があり、僧帽状の帽を帯びる(s)。朔の基部には気孔がある(x)。朔歯は二重で、各々16枚からなり、外朔歯と内朔歯はほぼ同じ高さ。外朔歯は披針形で、下部には横状が、上部には微細な乳頭がある(z, aa)。内朔歯は比較的高い基礎膜を持ち、間毛と歯突起があり、歯突起や間毛には微細な乳頭がある(ab, ac)。胞子は球形で径12〜18μm(ad)。

 アオギヌゴケ属 Brachythecium の蘚類だろう。保育社の図鑑で検索表をたどると、すんなりとハネヒツジゴケ B. plumosum に落ちる。種の解説をよむと観察結果とほぼ合致する。保育社図鑑は掲載種も少なく、検索表もあまりにも単純なので、平凡社図鑑の検索表にあたってみると、やはりハネヒツジゴケに落ちた。ハネヒツジゴケについては、標本No.591で詳細な観察をしているので、ここでは朔や朔柄の横断面の画像などはとりあげなかった。