2003年8月22日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 とても珍しく興味深い(?)ものを取り上げてみた。といってもかなりマニアックといわれそうな代物である。ケシボウズの仲間の担子器である。W.C.Coker & J.N. Couch "The Gasteromycetes of The Eastern United States and Canada" には、ケシボウズの一種であるTulostoma simulans の担子器の姿が描かれている(a)。腹菌類の担子器には面白い形をしたものが多いが、ケシボウズのそれは際立っている。以前、雑記2003.7.21でも一度だけ担子器を取り上げている。
 ケシボウズの担子器を見るためには、まだ柄が全くできていない状態で地中に眠っているものを採取しなくてはならない。そして、グレバがまだ白色スポンジ状をしているうちだけである。たとえ柄がまだできていなくても、グレバが黄褐色になるとかなり難しい。幼菌を見つけることが最初の難関である。やっとのことで地下の幼菌を見つけても多くはグレバがすでに黄褐色になっている。だからだろうか、ケシボウズの担子器の形状について触れた専門書はほとんど無い。
 ここで取り上げたものは、8月19日にかろうじて一つだけ採取したナガエノホコリタケの幼菌のものである。最初水でマウントして対物40倍で見た(b, c)。担子器自体がかなり三次元的な立体構造をなしているので、微動ネジを上げ下げすれば図(a)のような姿を確認できるのだが、撮影するとなるとそのうちの一場面を切り取ることしかできない。次にフロキシンで染めてみた(d〜f)。若い個体の頭部は担子器だらけである(d)が、とても分かりにくい。さらに、この個体はまだあまりにも若いせいか、胞子がほとんど未熟でとても小さい。
 いずれにせよ、胞子をともなった状態の担子器を撮影するのは非常に難しい。胞子が成熟する頃には担子器はほとんど溶けてしまっているのだから。

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