2005年12月8日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 担子菌の検鏡をすると、胞子、シスチジア、担子器、ヒダ実質部や傘上表皮などの菌糸の太さ・長さなどのサイズを計測することになる。担子器を例にとってみた。
 最終的に担子器のサイズを、34-44 x 6-8.5μm と記録したとする。32 x 6.2 といったように、個別具体的な数値をいくつも計測したはずである。いったいいくつ計測すればよいのだろうか。少なくとも20は必要だろう。何らかの形で公にするのであれば、さらに多く計測しなくてはなるまい。その場合、前提として担子器の全体像がわかるようなプレパラートを作る必要がある。

 素材としてシロノハイイロシメジ(a)の半乾燥標本を使った。ヒダ切片を湯でふやかしてからマウントした(b)。子実層の部分を拡大すれば、だいたいのサイズを知ることはできる(c)。しかし、担子器の基部の様子や、正確なサイズはわからない。担子器だけを取り出す必要がある。
 たとえば、子実層部分だけをフロキシンで染めて(d)、マウント液を水から3%KOHで置き換えると、カバーグラスの重みで組織が潰れる(e)。このままでも、ヒダ先端部は担子器などがかなりバラけている(f)。しかし、このままでは組織が重なり合っていて計測は難しい。
 そこで、カバーグラスの上から、柄付針の先などで、軽く圧を加えてわずかにずらすと、担子器などの組織がバラバラになる。それが、下の段の写真(g〜l)である。ステージ上でプレパラートの位置を少しずつ変えれば、すぐにでも20〜30の担子器を見ることができる。

 ここまでいけば、あとは個別に記録するだけだ。カバーグラスに強い力を与えてしまうと、組織が壊れて内容物がはみ出したり、全体が扁平に変形する。
 なお、油浸100倍レンズを使うと、ミクロメータの一目盛が0.95〜1.05μmほどになるので、400倍レンズを使っての計測よりも信頼性が高い。ただ、対物ミクロメータを使って、接眼ミクロメータの一目盛が正確に何μmなのかを予め把握しておく必要がある。[参考] 雑記2004.11.15

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