2009年4月1日(水)
 
縁シスチジアと側シスチジア
 
 公園の隅の荒れ地に非常に脆いナヨタケ属のきのこが出ていた(a)。乾燥すると白褐色となり、条線が消える。カサ裏をよくみると、親ヒダ〜曾孫ヒダまである(b)。胞子紋は暗褐色(c)。胞子を水道水(d)、濃硫酸(e)、KOH(f)で封入してみた。発芽孔がある。縁シスチジアは嚢状のものとフラスコ状のものがある(i)。側シスチジアはほとんどがフラスコ状だ(j)。カサ上表皮層は細胞状とでもいうのだろうか(l)。どうやらコナヨタケらしい。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 縁シスチジアと側シスチジアを確認するだけなら、わざわざヒダ切片を切り出すまでもなく、楽に確認することができる。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて(g)、ヒダの縁を幅1mmほどに切り離して(h-I)、さらにヒダの中程から2〜3mm四方切り離す(h-II)。
 この二つの片(h-I, h-II)を一枚のスライドグラスの左右にのせて、それぞれにカバーグラスをかける。これをKOHで封入して、それぞれカバーグラスの上から軽く押しつぶす。二枚のスライドグラスに別々に分けてもよいが、一度に両者を見た方が比較しやすいし、後で洗うスライドグラスの枚数も減らすことができる。ヒダの縁(h-I)にシスチジアがあれば、それは縁シスチジア。縁なしのヒダ片(h-II)にシスチジアがあれば、それは側シスチジアということになる。
 水で封入してもよいが、押しつぶすときにシスチジアなどが潰れたり崩れてしまいがちだ。KOHならその心配は少ない(雑記2008.2.9)。さらにフロキシンを加えると見やすくなる。どうせなら、フロキシン入りのKOHをひとつ用意しておくと楽だ。短時間に多くのきのこを観察する場合にはたいていこの方法でやっている。

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