2010年8月7日()
 
無力な顕微鏡観察
 
 富士山は針葉樹林が広範囲に広がっているので、ちょっと歩けばすぐにヘラタケやコゲエノヘラタケにであうことができる。この仲間は、保育社図鑑ではテングノメシガイの仲間に入っているので、出会うととりあえず採取して観察したり、標本にもしてきた。
 
ヘラタケ (a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)

コゲエノ
ヘラタケ
(a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
(d')
(d')
(e')
(e')
 これまでの雑記でも、ヘラタケは2006.8.27の雑記で、コゲエノヘラタケは2009.8.21の雑記でもミクロの姿を記している。今日の雑記には、胞子単体の画像は出さなかったが、両者共にまるで回虫か線虫のような姿をしている。子嚢はともに非アミロイド。

 こうやって両者を並べてみると、あらためて光学顕微鏡の無力さを痛感する。光学顕微鏡による観察からは両者には差異はほとんどない。同様のことは、テングタケ属にもいえる。せいぜい胞子がアミロイドか否かくらいの違いしかない。胞子のサイズには変異が大きい。種の同定に関しては、顕微鏡観察はほとんど必要ない、あるいは無駄に近い。
 いきおい、種の同定にはDNA分子の解析さえすればよいとして、形態観察など不要で無駄だという考え方が現れる。分子データ万能視は「いきもの(生物)」の否定につながる。


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