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こんな幼菌でも子嚢の確認ができた | |||||||||||||
宇都宮大学の船生演習林の山では、9月末〜10月初めの頃に毎年多数のコウボウフデが姿を現わす。全国レベルで見れば確かに稀菌なのだろう。ちなみに環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種のカテゴリーは「DD(情報不足)」となっている。栃木県のレッドデータリストでは「要注目」というカテゴリーに入っていて、分布域は那須町・塩谷町・茂木町となっている。そして昨年日光市の鬼怒川遊歩道でも発生が確認されている(雑記2016.11.3)。 古い図鑑類では担子菌の腹菌類として掲載されているが実は子嚢菌だ(同2004.4.20)。子嚢菌なら顕微鏡を使えば簡単に子嚢を確認できるではないかと思えるが、実はこのきのこの子嚢を確認するのは意外と難しい。だからこそ長い間担子菌だと思われていたわけだ。 子嚢を確認できるのは、まだ地中に埋まった状態の若い菌蕾の時だけだが、その若い菌蕾をどうやって見つけるかが問題だ。地表に姿を現した時には、子嚢は大方消失している。昨日宇大の演習林で地表に顔を出したばかりの幼菌を見つけた(d)。一般的にはこんなふうに地表に姿を現したものでは子嚢はもはや残っていない。しかし、じっくりと探せばごくごく一部に子嚢の痕跡や子嚢に入った状態の胞子を見出すことができる。 菌蕾を縦に切ってみると(f)、上部(g)と下部(h)で何となく密度と色が違う。下部の色の濃い部分(h)から組織の一部をつまみ出して顕微鏡で覗いてみた。低倍率で子嚢を探すと一つ見つかった(i)。倍率を上げて見た(j)。フロキシンで染めたり(k)、コンゴーレッドで染めて(l)さらに探してみると幾つも子嚢を見つけることができた。非常にまれだが成菌でも子嚢の痕跡が残っている場合がある(cf. 雑記2014.9.22、同2009.11.7、同2003.9.25)。 |
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