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まるで一菌糸型にしか見えない:モミジウロコタケ | |||||||||||||
久し振りに軟質菌以外のきのこを持ちかえってきた。公園の小川の脇に転がっていた材からでたモミジウロコタケだ(a〜c)。背面には微毛があり(d)、裏面(子実層面)は平滑で(c)、傷つけるとチウロコタケと同じく、血のような色の汁が出る(e, f)。 軟質菌同様にまず薄片を作って顕微鏡で覗いてみた(g)。倍率をあげて子実層面を見ると、先端がスリコギ状になった菌糸と汁管菌糸のようなものが並んでいる。薄片とはいえかなり厚みがあって分かりにくいので、フロキシンで染めてKOHで封入し直し、カバーグラスの上から軽く押しつぶして見た(i)。担子小柄をつけた状態の担子器は見つけられなかった。汁管菌糸らしきものは茶褐色のものと透明なものがある(j, k)。今回は胞子紋はとらなかったので、胞子は見ていない。 菌糸構造を確認するために、まずきのこの体から0.5mm四方くらいの微細片を切り出した。フロキシンで染めて10%程度のKOHで封入してカバーグラスの上からゴシゴシやってみた。菌糸が次第にほつれて見やすくなってくる(k, l)。 厚い細胞壁を持っているから骨格菌糸だろうと思って、視野を広げて菌糸をたどっていくと、隔壁が見つかり原菌糸であると確認させれらることがやたらに多かった。さんざん探してみたが確かにクランプは見つからなかった。「クランプがある」と判断するのは簡単だが、「クランプがない」と断定するのは至難の業だ。何度も何度も微細な組織片を切り出しては菌糸をバラシてクランプの有無を探すことになる。 |
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モミジウロコタケにつていは2017年にも同じようにいじくりまわしている(駄言2017.9.14)。しかし、2年前に検鏡したという記憶は全くなかった。 | |||||||||||||