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[標本番号:No.27 採集日:2006/10/28 採集地:栃木県、日光市] [和名:オオトラノオゴケ 学名:Thamnobryum subseriatum] | |||||||||||||
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栃木県川俣温泉近くの鬼怒川遊歩道で10月28日に採取したコケを観察してみた(a)。岩の上を横に這う一次茎から、高さ3〜6cmほどの二次茎が、直立あるいは斜めに立ち上がっている。直立した茎からは上半部に左右相称に枝がでて、全体が樹状に広がっている(b)。 二次茎や枝の途中からは赤褐色の柄をもった胞子体がでている(c)。乾燥すると葉が枝を巻き込むように包み込むが、全体が縮れるほどではない(d)。朔は白い帽を被っているが、まだ若すぎたのか、蓋は外れなかった(e, f)。無理に外そうとすると千切れてしまった。 枝葉は中くぼみで長楕円形〜披針形、先の方に鋸歯をもち、中肋が先端近くまで伸びている(g, h)。茎葉は小型で卵形のものが多く、枝葉と同じような特徴を持つ(i)。いずれも葉身細胞は先端から中央では円形から多角形、基部では細長い矩形で、マミラやパピラはない(j, k)。 葉の縁に舷はなく、横断切片をきりだしてみると、中肋部にガイドセルは明瞭だが、ステライドははっきりしない(l)。せっかく胞子体の付いたものを採取してきたにもかかわらず、残念ながら朔歯や成熟した胞子などを観察することはできなかった。 ここまで書いてきてふと気づいた。何となく9月27日の観察覚書に「オオトラノオゴケ」として記したものとよく似ている。しかし、オオトラノオゴケの葉身細胞は「中央で長い菱形〜六角形」とされる。となると、9月27日の蘚類も、ここで取り扱ったものもオオトラノオゴケではないことになる。では、何なのだろうか。現時点では、どの属に落ちるのかもわからない。
[修正と補足:2006.12.14]
[補足と修正 2009.02.18] |
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標本No.12への [修正と補足] にも書いたが、平凡社図鑑には「(二次茎は)下部から葉を密につけ」とあるが、本標本の中にはそういった状態の二次茎をもったものはなかった。標本No.587やNo.12を検討するときにも、この記述にはかなりの疑問を感じた。 なお、オオトラノオゴケの配偶体と胞子体については、標本No.587により詳細に記してある。 |
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