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[標本番号:No.55   採集日:2006/12/25   採集地:東京都、八王子市]
[和名:トサカホウオウゴケ   学名:Fissidens dubius]
 
2006年12月29日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 高尾山では何種類かのホウオウゴケ属に出会ったが、持ち帰ったのはそのうちの1種類だけだった。茎の長さが4〜6cmほどあり、枝分かれはほとんどない。ホウオウゴケなのかトサカホウオウゴケなのか、現地では判定できなかったので、これを調べてみることにした(a)。
 ルーペで見ていると、乾燥するにしたがって葉の先端が丸まっていく(b)。葉を外して乾燥するままに任せてみると、すっかり丸まってしまった(c)。水に浸すと再び広がった。中肋はほぼ葉頂まで達している(d)。葉の縁には先端を中心として鋸歯が目立ち、葉縁が他の部分に比較して明色である(e)。葉身細胞は方形〜六角形で中央が膨らんでいる(g)。
 背翼、腹翼を含む中肋部を中心に何枚かの葉を、横断面で観察してみた(g〜i)。葉の細胞は大部分で1層だが、背翼の基部のあたりでは、2層の細胞からなり部分がある。中肋の中心部には顕著なガイドセルが走り、周辺にはステライドがよくわかる(i)。
 葉の縁が明色で鋸歯を持ち、顕著な舷はみられず、乾燥すると著しく巻縮することなどから、トサカホウオウゴケ Fissidens dubius だろう。以前10月31日にも、日光産のものを観察している。今後は、トサカホウオウゴケについては、現地でルーペを使えば同定できそうだ。