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[標本番号:No.79   採集日:2007/01/19   採集地:東京都、渋谷区]
[和名:ツクシナギゴケ   学名:Eurhynchium savatieri]
 
2007年1月22日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 明治神宮の参道脇にキャラボクゴケと一緒に出ていた蘚をしらべてみた(a)。キャラボクゴケに隠れるような生育の仕方をして、キャラボクゴケに朔がついたかの様にみえる。多くの朔をつけたあたりを見るとアオギヌゴケ科らしき葉がわずかに分かる(b)。
 実際には、朔をつけたホウオウゴケ科だけを採取したつもりだった。ところが、持ち帰って見ると、朔はホウオウゴケ科のものではなく、混生していたアオギヌゴケ科のものだった。1.5〜3cmほどの茎から、0.8〜1.5cmほどの枝を出している(c)。
 顕微鏡下でみると、茎には毛葉などはない。枝葉は、1.0〜1.5mmほどで、葉長の3/4〜4/5ほどの中肋があり、縁には小さな歯がみられる(e, f)。中肋の先端は針の様な形で突出している(f)。葉縁には際だった舷のような構造はなく、葉身細胞は線形で(g)、翼基部の細胞はやや幅広の長い方形(h)。茎葉も枝葉とほぼ同じような形をしている。
 朔は無毛の白色の帽をかぶり(b)、蓋には長い嘴がある(j)。朔柄は全体にわたってパピラがある(i)。顕微鏡で朔柄の縁を見ると隣接する細胞の壁が膨らんでいる。朔歯は2列で内外とも16枚からなり、同じような長さである(k, l)。どうらや、ツクシナギゴケ Eurhynchium savatieri らしい。