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[標本番号:No.94   採集日:2007/01/31   採集地:東京都、奥多摩町]
[和名:アカイチイゴケ   学名:Pseudotaxiphyllum pohliaecarpum]
 
2007年2月6日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 奥多摩で海沢沿いの林道脇で、やや陽があたる半日陰の崖に赤みを帯びたコケが絨毯のように一面に着いていた(a)。近づいてみると、赤色はアカイチイゴケ属らしきコケだった(b)。葉腋には紐状の無性芽が多数ついている(b, c)。
 多分アカイチイゴケだろうと思ったが、赤色をしたものはこれまできちんと観察していない(覚書2007.1.25)。さらに、岩壁に着いた状態のものに出会ったのも初めて。壁面をはう茎は、長さ2〜4cm、幅は葉を含めて2〜3mm、枝分かれは少ないが、わずかに枝もみられる
 ルーペで見ても(c)、顕微鏡でみても(d)、葉は鮮やかな赤色で、無性芽は肉眼で観察できるほど大きい。葉は非相称な卵状披針形で、長さ1.5〜2mm、葉縁にはわずかに歯があるが、葉頂付近でしか目立たない(g)。中肋は目立たず、わずかに二叉する短いものが基部にある(e, f)。葉身細胞は線形で、長さ50〜80μm、幅5〜8μm、パピラなどはなく平滑で(g)、翼部ではやや幅が広く長さも短い細胞からなる(h)。
 無性芽は特徴的な形をしている。おしぼりあるいはタオルを捻ったような形をしている(i, j)。赤色の葉の近くの無性芽は赤色、緑色の葉の近くの無性芽は緑色のものが多い。赤色と緑色が半々の無性芽も多数ある。
 葉が非常に薄いために、横断面の切り出しは面倒だった。中肋を含まない部分で切り出すのは比較的楽だが(k)、中肋を含む面で葉を切り出すのには難儀した(k)。
 どうやら、この赤色を帯びたこけはアカイチイゴケとしてよさそうだ。この次は朔をつけた状態のものに出会いたいものだ。