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[標本番号:No.185 採集日:2007/04/07 採集地:栃木県、日光市] [和名:オオシッポゴケ 学名:Dicranum nipponense] | |||||||||||||
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鬼怒川温泉の近くの沢沿いの遊歩道脇の腐木に、群落をなしてコケがついていた(a, b)。やや乾燥気味だったが、見た目はシッポゴケ科のようだ。持ち帰ったものを湿らせてみると、色が鮮やかになり葉がこころもちピンと張った(c)。印象は、乾燥状態と極端には変わらない(d)。 植物体は、茎の長さ2.5〜4.5cm、茎の下半は褐色の仮根に被われている。葉は密につき、ゆるく反ったような形で茎につく(e)。葉は広い披針形で、長さ6〜8mm、葉先の縁や中肋背面には顕著な歯があるが(e〜g)、葉身細胞の先の方はやや幅広で、溝状にへこむことはない。 葉身細胞は長めの多角形〜菱形で、長さ40〜70μm、幅12〜18μm、平滑でやや角張り、細胞膜にはくびれがみられる(h)。基部の翼部には褐色で大きな矩形の細胞があり、一部の葉では細胞が2層になっている。中肋と翼の間の細胞は、褐色透明でやや長めの矩形。 葉の横断面を見ると、葉の基部近くでは、中肋は厚みがなく、幅は葉幅の1/6〜1/8ほどで、中肋にはガイドセルがみられる(j)。葉の中間あたりでは、やや厚みを持ち、葉幅の1/12〜1/16ほどとなり、先端近くでは、幅が1/4〜1/5ほどとなる(k)。葉先ちかくの中肋は背面に、薄板状の凸部や歯がみられる(l)。カモジゴケではあるまいかと思った。
先にカモジゴケと同定した標本No.173と比較してみた。両者の乾燥標本を並べてみると、実によく似ているのだが、本標本(No.185)の方が色がかなり濃く、縮れ方がやや弱く、葉先の太さに違いを感じる。さらに拡大して比較してみるとよくわかる。
[修正と補足:2007.04.25] |
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