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[標本番号:No.191   採集日:2007/04/27   採集地:埼玉県、川口市]
[和名:コツボゴケ   学名:Plagiomnium acutum]
 
2007年5月3日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 団地の樹下がコケの春を迎えている(a)。圧倒的に多いのが、明るい色のコツボゴケ(b)、やや濃緑色のナミガタタチゴケ、絨毯のように拡がるツクシナギゴケだ。
 コツボゴケは今の時期、ほとんどが直立型で、朔をつけたものが遠目にも赤くて美しい(a, c)。匍匐茎はよくよく探さないと見つからないほど少ない(d)。朔をつけた個体を湿った状態(e)、乾燥した状態(f)で比較してみた。乾燥すると巻縮して色も濃くなる。種を確認するために、葉(g)、歯をもち尖った葉先(h)、丸みを帯びた六角形の葉身細胞(i)、横断面での中肋の様子(j)、茎の横断面(k)などをチェックした。コツボゴケとしてよさそうだ。
 朔をつけていたので、ルーペの下で観察して遊んだ。朔歯を湿らせた状態から自然乾燥していく過程で、外朔歯が開いていく様子は興味深い。内朔歯を顕微鏡で覗いてみると面白い構造の組織が見える(l)。今朝は、直感的・感覚的観察を主体とした。
 コツボゴケは既に何度もこの観察覚書に記しているので、非掲載扱いにしようと思ったのだが、団地樹下であまりにも鮮やかな黄緑色を見せてくれるので取りあげた。