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[標本番号:No.259 採集日:2007/06/09 採集地:栃木県、日光市] [和名:ヤナギゴケ 学名:Leptodictyum riparium] | |||||||||||||
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栃木県奥日光湯本温泉では、何種類かのコケが泉源からの流水中とその周辺に見られる。酸性度の強い温水中に群生するコケたちである。先日はそれらのうちから、チャツボミゴケを観察したが、今朝観察したのは蘚類である。 湯本温泉の泉源からの流れは、遊歩道周辺で水温30〜35度ほどあり、観光客用に木道が設置されている。木道脇の湯の中にはあちこちに暗緑色〜緑褐色のコケの群がみられる(a)。水中の岩の上から出ていて、水中の茎の様子はよく分からない(b)。 数本を引き抜いてみると、不規則に枝分かれした細長い茎に葉がやや疎らについている(c)。茎の長さは5〜10cmほどあり、枝は5〜15mm、乾燥しても葉はあまち縮れず、全体の印象はあまり変わらない(d)。茎葉も枝葉も大きさや形はほぼ同じである。 葉は卵形〜卵状披針形で、葉頂がやや尖り、鎌形に曲がるものもあり、長さ1.5〜2mm、中肋が葉長の3/4近くまで達し、ほぼ全縁である(e, f)。葉身細胞は長い六角形から線形で、長さ55〜90μm、幅5〜10μm、やや薄膜で位置により大きさにはかなりのバラツキがみられる(g)。葉頂の細胞は菱形〜六角形で(h)、翼部では大きな矩形の細胞がみられる(i)。 茎や枝の断面を切ってみると、表皮細胞は中心部より小さくわずかに厚膜となり、中心束の発達は悪い(j)。葉の横断面をみると、中肋にステライドはなく、葉の細胞の表面はわずかに凸凹している(k)。枝や茎の葉の基部からは、所々に小葉状の偽毛葉らしきものがみられる(l)。
これまで観察した蘚類にこのようなタイプは無かった。科の見当をつけて、可能性を否定していくと残ったのはヤナギゴケ科だった。ヤナギゴケ科は環境による変異が大きく、分類が難しいことで知られているという。とりあえず科の検索表をたどってみた。 |
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