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[標本番号:No.348 採集日:2007/10/10 採集地:岡山県、新見市] [和名:ネズミノオゴケ 学名:Myuroclada maximowiczii] | |||||||||||||
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岡山県新見市の鍾乳洞脇の石灰岩壁(標高300m)に、ネズミノオゴケらしき蘚類が大きな群落をなしていた(a)。よく見ると未成熟だが朔をつけている(b)。ネズミノオゴケであることを確認して、雌苞葉などをあらためて検鏡してみようと思い標本を持ち帰った。 植物体はツヤがあり、枝は長さ1〜2.5cm、葉を覆瓦状に密につけ、ネズミの尾を連想させる。二次茎の途中や、枝の途中から朔柄を伸ばしている(c, d)。葉はほぼ円形で、椀状に大きく凹み、長さ1.5〜2mm、一部の葉では葉頂部がわずかに突出する(e)。 茎から葉を外して水に浮かせた状態(e)のものに、カバーグラスを載せると、たちまち葉が破れた(f)。葉は、葉縁に微細な歯があり(h)、中肋が葉長の1/2〜3/4に終わる。葉身細胞は菱形で、葉身中央部では長さ15〜25μm(i)、葉先や葉縁ではやや小さく(h)、基部では、長さ30〜45μmと大きくなっている(j)。葉の横断面をみると、中肋部は小さな径の細胞が複数層重なり、ステライドはない(k)。茎の横断面には中心束が見られ、表皮細胞は厚膜の小さな細胞からなる(l)。 |
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朔はまだ未熟だったが(m)、朔柄の基部には長い毛状に伸びた雌苞葉がみられる(n)。苞葉を外してみた(o, p)。ほとんど透明で、先端が芒状に伸びたもの(o)や、やや尖った三角形のもの(p)などがあり、長さ0.8〜1.2mmで、葉身細胞は菱形〜矩形であり、植物体本体の葉身細胞よりずっと大きい。葉緑体を失って透明になった細胞が目立った。
ネズミノオゴケはこれまで2度ほど観察しているが(標本No.130、同No.119)、朔をつけたものに出会ったのは初めてだった。しかし、未成熟だったので、いずれ成熟した朔をつけた個体に出会った折りに、再度朔の観察をしたいと思う。 |
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