HOME | 観察覚書:INDEX | back |
[標本番号:No.379 採集日:2008/02/03 採集地:栃木県、日光市] [和名:エゾスナゴケ 学名:Racomitrium japonicum] | |||||||||||||
|
|||||||||||||
栃木県奥鬼怒温泉郷の標高1360m付近で、開けた明るい谷間の雪景色の中、露天風呂から溢れた湯が常時流れる岩に暗緑色のコケがついていた(a, b)。茎は直立し、長さ12〜15mm、葉を密に螺旋状につけ、乾くと葉が茎に密着し、湿ると葉が大きく反り返る(c, d)。 葉は、卵状披針形〜卵状楕円形で、長さ2〜2.5mm、中肋を軸として竜骨状に折り畳まれる(f)。葉先は鈍頭で、透明で微細な鋸歯状〜鶏冠状となったものが多い(g, h)。透明尖を持った葉はみられない。中肋は一本で太く、葉先近くまで伸びる。 葉身細胞は、葉先から中程では、方形〜短い矩形で、長さ10〜20μm、幅5〜8μm(i)、葉の下部では長さ60μmに達し(j)、いずれも不規則に波状に肥厚した縦壁をもち、縦壁に沿って多数のパピラをつける。葉の翼部には、大型で透明な薄壁の細胞群がみられる(k)。茎の横断面に中心束はなく、小形で厚膜の表皮細胞をもつ(l)。 |
|||||||||||||
|
|
||||||||||||
葉の数ヶ所で横断面を切り出してみた(r)。葉の縁はいずれも1細胞層で反曲し、中肋にはガイドセルはなく、中肋背面の上部にウネなどはみられない(m〜q)。
ギボウシゴケ科 Grimmiaceae シモフリゴケ属 Racomitrium の蘚類であることは間違いなさそうだ。ここでは、チョウセンスナゴケ R. carinatum としたが、はななだこころもとない。エゾスナゴケ R. japonicum の可能性も大きい。
[修正と補足:2008.02.12 pm] |
|||||||||||||