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[標本番号:No.431 採集日:2008/03/29 採集地:栃木県、佐野市] [和名:チジミバコブゴケ 学名:Onchophorus crispifolius] | |||||||||||||
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今朝、3月29日に採取したシモフリゴケ属(No.401)を観察していると、細長い葉を持ち、乾燥すると強く巻縮するコケが混じっていた(b)。現地でみたとき、シモフリゴケ属が朔をつけているのかと思ったが、混生していた全く別の蘚類のものだった(a)。結果的に観察することになった。 標高260m付近の川原の石についていた蘚類は、茎の高さ1cmほどで、細長い葉をつけていた。葉は、卵形で透明な鞘状の基部から、急に細くなって線形に伸び、長さ3〜5mm、上半部には小さな歯があり、中肋が葉頂に達する(c, d)。 葉身細胞は、葉の細い部分から卵形の広い部分の大半では、丸味のある方形で厚壁、長さ5〜12μm(e, g)、鞘部では大型矩形の薄膜細胞が並び、大型の細胞は、幅8〜15μm、長さ40〜60μm(f)、いずれも表面は平滑。線状に伸びた部分の細胞はしばしば2層からなる(h, i)。 葉の数ヶ所で横断面を切り出した(d, i)。中肋の背面にステライドがあり、鞘部ではステライドは不明瞭で、中肋に続く葉面が大型薄膜の細胞であるいことがわかる。茎の横断面には中心束があるように見える(j)。 朔をつけていたので、観察できると思ったが、全く未成熟であった。結果的に持ちかえることになったごくわずかの標本では、帽は落ち、朔をつけた個体は4つほどだったが、いずれもまだ全く朔ができておらず、蓋と本体とは分離できなかった。すべての朔の基部下側に、大きなこぶ状の突起がみられた(k)。また、朔壁には明瞭に気孔がみられた(l)。
存在を認識していなかったので、明瞭な生態写真は撮っていない。また、標本としての個体数もあまりにも少なく、朔をつけた4個体と数本だけしかなかった。ふだんなら、夾雑物として、観察することなく屋外に返してしまうのだが、朔の基部のコブが気になって観察してみた。 |
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