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[標本番号:No.455 採集日:2008/06/24 採集地:東京都、奥多摩町] [和名:タチヒラゴケ 学名:Homaliadelphus targionianus] | |||||||||||
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6月24日に奥多摩で、陽当たりのよい石灰岩壁に一見してヒラゴケ科 Neckeraceae と思われるコケが群生していた(a)。一次茎は岩壁をはい、二次茎は斜めに立ち上がって、不規則な羽状に分枝し、群落全体として扁平なマットを作っている。現地の標高は460m。 すっかり乾燥した標本は、腹側に軽く巻き込んでツヤを失っていたが、水没させると鮮やかな緑色になってツヤも出てきた(b)。葉を含めた枝は幅2〜3mm、枝の長さは1〜2.5cm。ルーペでみると、葉の基部にまるで苔類の腹片のような小舌片がみえる(c)。 葉は広卵形〜類円形で、長さ1.2〜1.5mm、基部の縁が内側に折れ曲がる(d, e)。葉縁は全縁で、中肋はないか、ほとんど消え入るような不明瞭なものが基部にわずかに残る。 葉身細胞は、葉の大部分では菱形で長さ15〜25μm(g)、葉頂付近では方形で長さ8〜10μm(f)、葉基部では長菱形で長さ30〜50μm(h)、いずれも厚膜で平滑。茎や枝の横断面に中心束はなく、表皮は厚膜の小さな細胞からなる(i)。念のために葉の横断面を切ってみた(j)。
葉を4列に扁平につけ、基部の縁が小舌片状に折れ曲がり、まるで苔類のような姿をしていることから、タチヒラゴケ属 Homaliadelphus の蘚類であることは、ルーペをみた瞬間に分かった。保育社の図鑑によれば、この属には日本産3種とあるが、平凡社図鑑では日本産1種とされ、タチヒラゴケ H. targionianus とその変種であるヒメタチヒラゴケ H. targionianus var. rotundatus が掲載されている。観察結果は、タチヒラゴケを示しているようだ。 |
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