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[標本番号:No.461 採集日:2008/06/24 採集地:東京都、奥多摩町] [和名:ヒラハイゴケ 学名:Hypnum erectiusculum] | |||||||||||||
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6月24日に東京都奥多摩町で採集したコケのうち一つだけ残った蘚類を観察した。ヒラハイゴケ Hypnum erectiusculum ではないかと思った(a, b)。ヒラハイゴケは過去に一度観察(標本No.421)しているが、それは未成熟な朔しかつけていなかった。この標本には朔がついていたのでひょっとして、朔をきちんと観察できるのではないかと思って採種したものだった。 標高700m、林道脇の日陰のやや湿り気のある岩盤に群生していた。既に2ヶ月近く経過しているので、標本はカラカラになっていた(c)。乾燥しても、葉は縮れたり茎に密着することなく、湿時とあまり変わらない姿を保っていた。水没させると、採取時に近い姿に復元した。 茎は長さ5〜8cm、不規則に羽上に分枝し、扁平に葉をつける。茎葉も枝葉も形はほとんど同一で、茎葉がやや大きい程度の差しかない。葉は広卵状披針形で漸尖し、長さ2〜2.5mm、葉先は強く鎌形に曲がる(d, e)。葉先には明瞭な微歯があり(g)、翼部の細胞がやや分化する(h)。弱く短い中肋が2本ある(f)。 葉身細胞は線形で、葉身中央部で長さ60〜70μm(j)、葉先ではやや短く(i)、基部に近づくと幅が広くなる(k)。翼部の細胞は、方形〜矩形の細胞が並ぶ(l)。葉の横断面をみると、葉身細胞は平滑で、膜はやや厚い(m)。 |
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茎の横断面には、やや不明瞭な中心束がみられ、表皮には薄膜でやや大形の細胞が並ぶ(n, o)。朔柄は長さ3cm前後、表面は平滑。朔は円筒形で非相称、やや曲がり、乾いても縦皺はよらない。採取したものは、崩れたものしかなく(p)、蓋や帽をつけたものもなかった。朔は二重で、各々16枚。外朔歯には横条が目立つ(q)。朔の表皮に気孔はみられなかった(r)。 先入観を抜きにして、観察結果だけから平凡社図鑑のヒラゴケ属の検索表をたどると、ヒラハイゴケに落ちる。どうやら、現地で見たときの推測は当たっていたようだ。先に採集した標本では朔が未成熟、今日観察した標本には老熟した朔しか残っていなかった。 |
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