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[標本番号:No.510 採集日:2008/09/03 採集地:宮城県、栗原市] [和名:チャツボミゴケ 学名:Jungermannia vulcanicola] | |||||||||||||
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宮城県の鳴子温泉近くにある鬼首地熱発電所に行ったとき、温水が噴き出して硫黄が溜まった一画(a: alt 640m)に苔類が密集していた(b, c)。一体は、しばしば温水や熱水を浴びる環境だ。一塊りをとりだしてみると、緑色部は全体のごく一部で、多くは茶褐色を帯びている(d)。 茎は長さ3〜7cm、茶褐色をした茎の上部で2〜5本に枝分かれし(e, f)、葉を瓦状につけ、腹葉はない(g, h)。葉は接在し、長さ1〜1.2mm、類円形〜腎臓形、切頭で全縁(i)。葉身細胞は、多角形で、長さ30〜70μm、薄膜でトリゴンはなく、平滑。油体は一部の細胞にしかなく、一細胞あたり1〜4つあり、油体は微粒の集合体で、楕円体、サイズにはバラツキが大きいが、8〜12μm、内部には大きな眼点をひとつ持ったものが多い。 現地で採集するにあたり、花被やペリギニウムをさがしたが、これらをつけた個体はみつからなかった。また、発生した位置によって、群の茎の茶色部の長さは大きく異なっていたが、緑色部はいずれも1.2〜2mmほどだった。茎の横断面をみると細胞の分化はほとんどない(l)。 ツボミゴケ科 Jungermanniaceae ツボミゴケ属 Jungermannia のチャツボミゴケ J. vulcanicola だと思う。いぜんであったチャツボミゴケもまた、栃木県奥日光の源泉の熱い湯を浴びる環境に群生していた(標本No.258)。保育社図鑑には「硫黄泉の流水中や湿地などに群生する」とある。 |
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