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[標本番号:No.673 採集日:2009/07/11 採集地:栃木県、日光市] [和名:ヒラハミズゴケ 学名:Sphagnum subsecundum var. platyphyllum] | |||||||||||||
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先月11日栃木県の鶏頂山で、沼に近い登山道脇の石がミズゴケですっかり被われていた(alt 1500m)。周辺は雨が降れば、登山道は常に水流に洗われる場所で、標本No.672(ヒラハミズゴケ)を採集した沼からは500メートルほど離れている。 すっかり乾燥して、そのまま乾燥標本になりそうな状態であった。現地で見た限りは、茎には枝が密集し、沼で見たヒラハミズゴケとは別種のように感じた。周辺には、フロウソウ(No.668)やシッポゴケ(No.666)が広く群生していて、なぜか岩の上にだけミズゴケがついていた。 観察した結果は、ユガミミズゴケ節 Sect. Subsecunda のミズゴケであることがわかった。当初、シタミズゴケ S. subsecundum var. junsaiense ないしコアナミズゴケ S. microporum ではあるまいかと思ったが、ヒラハミズゴケとするのが妥当と考えるに至った。そこで、文字による記述は避けて、茎や枝、それぞれの葉の形質状態の画像だけを列挙することにした。 |
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シタミズゴケであれば、茎葉の舷が中央部で大きく広がっているはずである。しかし、本標本にはそういった様子はない(i, j)。また、コアナミズゴケであれば、開出枝と下垂枝の分化がさらに明瞭であり、茎葉の形も舌形で本標本とは異なる。そこで、変化の幅が大きいとされるヒラハミズゴケと判断するのが最も妥当と考えるに至った。 これまで、近接地域で採集して結果的に同一種と判断した場合、観察覚書には掲載せずに、そのまま標本箱に入れていた。本標本の場合、思いがけない環境下に発生していたこともあり、覚書にアップしておくことにした。 |
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