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[標本番号:No.0871 採集日:2010/04/11 採集地:神奈川県、清川村] [和名:コモチイトゴケ 学名:Pylaisiadelpha tenuirostris] | |||||||||||||||||||
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4月11日に神奈川県の東丹沢で採取したコケ標本がまだいくつか未観察のまま残っている。そのうちの一つ、標高550mの沢スジで切り株の上に赤褐色の朔を多数つけて薄いマットを作っていた蘚類を観察してみた。 茎は匍い、不規則羽状に枝をだし、黄緑色で光沢がある。葉を含めた枝の幅は0.6〜1.2mm、長さは2〜5mm。茎葉と枝葉はほぼ同じ形で、長卵形〜卵形で先は漸尖して細く伸び、鋭頭となる。茎葉は長さ0.7〜1.2mm、細くなった上半部の縁に微細な歯がある。枝葉は長さ0.6〜0.9mm、葉上半部縁の歯は茎葉のそれより顕著。茎葉、枝葉ともに中肋はない。葉の葉身細胞は線形で、長さ45〜80μm、幅5〜8μm、薄膜で平滑。葉の翼部は明瞭な区画をなし、薄膜で方形の細胞が並ぶ。茎や枝の横断面に中肋はなく、表皮細胞は薄膜で大きな細胞からなる。苞葉は長卵形から漸尖して、長さ0.8〜1.5mm、葉身細胞は線形で長さ50〜100μm。 |
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朔柄は赤褐色で、長さ10〜18mm、表面は平滑。朔は直立からやや傾くが、ほぼ相称。口環はなく、朔歯は二重で、外朔歯の上部は乳頭に覆われ、下部は横条が目立ち、内朔歯の歯突起は披針形で、間毛はほとんど痕跡的かみあたらない。朔の基部には気孔がある。胞子は類球形で、径18〜25μm。
朔の蓋や帽をつけた個体は見あたらず、形などは不明。また、茎や枝に毛葉はなく、無性芽らしきものは見あたらない。とりあえず、ナガハシゴケ属としたが、どの科の蘚類なのかわからなかった。葉先が漸尖し、葉身細胞が線形で平滑、中肋はなく葉上部の縁に微歯があり、茎の横断面に中心束がなく、茎の表皮細胞は薄膜で大形。また、口環がなく、朔柄は長く、朔は相称、内朔歯は披針形、等々の形質状態から、候補はかなり絞られるはずだと思った。
[修正と補足:2010.05.06] |
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