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[標本番号:No.0938 採集日:2010/05/16 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:テガタゴケ 学名:Ptilidium pulcherrimum] | |||||||||||||
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富士山の奥庭周辺(alt 2340m)で採取した苔類を観察した。広葉樹とコメツガの混交林の暗い林床に横たわる樹根に群生していた。ルーペでみると毛むくじゃらの状態が印象的だった。密集度が高く各個体を分離するのに難儀したが、下部の褐色の茎は絡み合いながら基物上を匍っているようだ。茎は長さ2〜3cmで、羽状に分枝し、仮根は少ない。 葉は倒瓦状に重なり合って、茎に対して斜めにつき、葉長の3/4ほどまで3〜4裂し、裂辺は披針形状三角形で側縁には6〜8本の長い毛がある。裂片は背縁側のものが腹縁側のものよりやや大きく、各裂辺の縁の長毛も背縁側に多い。腹葉は茎幅の1.5〜2倍の幅で、葉身部は膨らみ、上側の縁は長毛状となっている。葉身細胞は丸みを帯びた多角形で、長さ25〜45μm、膜はやや薄く、トリゴンは大きい。腹葉の葉身細胞上半では、トリゴンは小さいかほとんどない。 フィールドでは朔をつけた個体も見られたが撮影しなかった。また、採取標本に朔をつけたものはなかった。テガタゴケ属 Ptilidium の苔類だと思う。保育社図鑑の検索表からはテガタゴケ P. pulcherrimum に落ちる。3年前に日光で樹幹についた暗褐色のテガタゴケを観察しているが(標本No.200)、これと比較すると湿時の密集した姿はあまりにも印象が異なっていた。このため、当初はケテガタゴケ P. ciliare ではあるまいかと思ったが、腹葉の葉身部が膨らんでいることや、葉の裂片の縁の長毛の様子などから、やはりテガタゴケとするのが妥当と思われる。 |
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