[標本番号:No.0963 採集日:2010/06/06 採集地:栃木県、日光市] [和名:コアナミズゴケ 学名:Sphagnum microporum]
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2010年8月8日(日) |
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(a) 標本:乾燥時、(b) 標本:湿時、(c) 開出枝と下垂枝、(d) 茎と茎葉、(e) 茎の表皮、(f) 茎の横断面、(g) 枝の表皮、(h) 枝の横断面、(i) 茎葉と枝葉、(j, k) 茎葉、(l) 茎葉背面上部 |
6月6日に日光市の湿原・湿地(alt 1450m)で採取したミズゴケのうち最後の一つを観察した。低層湿原で水中に出ていたもので、現地での撮影には失敗した。茎の長さは6〜8cm。茎の表皮細胞は矩形で穴はなく、横断面で表皮細胞は1層で木質部との境界は明瞭。枝の表皮にはレトルト細胞が3〜4列に並び、レトルト細胞の首は短い。
茎葉は舌形で、長さ1.1〜1.2mm、縁に狭い舷があり、葉の中央部や下部でも大きくは広がらない。茎葉の背面上部には貫通しない穴と糸があり、腹面上部には糸と小さな穴がある。茎葉背面中央には糸も穴もない。
枝葉は長さ2.0〜2.7mmで長卵形、先端が軽く鎌状に曲がる葉が多い。枝葉背面中央の透明細胞には糸があり、小さな目立ちにくい穴が透明細胞の縁にそって並ぶ。枝葉の横断面で葉緑細胞は樽形で背腹両面に開いている。
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(m) 茎葉腹面上部、(n) 茎葉背面中央、(o) 枝葉、(p) 枝葉背面上部、(q) 枝葉背面中央、(r) 枝葉腹面上部、(s) 枝葉腹面中央、(t, u, v) 枝葉の横断面 |
枝葉の横断面で葉緑細胞が背腹両面にほぼ同じ程度に出て、枝葉の透明細胞の背側に小孔が節ごめんに沿って一列に並ぶことから、ユガミミズゴケ節 Sect. Subsecunda のミズゴケだろう。茎葉の形と平凡社図鑑の検索表からコアナミズゴケ S. microporum が候補にあがる。しかし、典型的なものからは遠いようだ。標本No.676と比較してみたが、よく似てはいるが若干違うようにも思えた。炎天下の水中に生育している姿を何枚か撮影したが、いずれも水面の反射光のためミズゴケの姿をはっきり捉えることができなかった。
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