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[標本番号:No.676 採集日:2009/07/11 採集地:栃木県、那須塩原市] [和名:コアナミズゴケ 学名:Sphagnum microporum] | |||||||||||||
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先月11日栃木県奥塩原温泉近くの大沼で、ユガミミズゴケ節 Sect. Subsecunda のミズゴケと思われる蘚類を採取した。沼の畔の常に水に浸る場所にでていた(alt 1500m)。生態写真は撮れなかった。後日生態写真を撮れる機会に再度アップしたい。 茎は長さ8〜10cmで明黄緑色、表皮細胞は長方形で孔はなく、横断面で1層、木質部との境界ははっきりしている。開出枝の表面にはレトルト細胞が2〜3列に並び、首はやや長い。下垂枝の表面や葉は、開出枝のそれらと変わりないので、以下枝葉は開出枝について記す。 茎葉は舌形で、長さ0.8〜1.2mm、縁には葉頂近くまで細い舷があり、中央部から下部では広がっている。茎葉の頂から上部1/4あたりまでの透明細胞には、背腹両面ともに整然とした糸があり、孔や偽孔が見られる。茎葉の中央部から基部には糸も孔もない。 |
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枝葉は長さ1.3〜1.8mm、卵状披針形で、先端は明瞭に左右に歪んでいる。枝葉背面の透明細胞には明瞭な糸があり、縁に沿って貫通する小さな孔がある。腹面の透明細胞にも糸があるが、孔は少ない。枝葉の横断面で、葉緑細胞は樽形で背腹両面に開いている。
本標本は、ミズゴケタケ Galerina tibiicystis、キミズゴケノハナ Hygrocybe turunda forma macrospora といったミズゴケ上に発生する菌類のホストとして採集したもので、蘚類の観察はホストの同定が主目的で、結果として生態写真を撮らなかったことが悔やまれる。 |
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