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[標本番号:No.1019   採集日:2010/10/12   採集地:高知県、仁淀川町]
[和名:アナシッポゴケモドキ   学名:Pseudosymblepharis angustata]
 
2010年12月19日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
(r)
(a, b) 植物体、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 乾燥時、(f) 湿時、(g, h) 葉、(i) 葉の上部、(j) 葉の中央、(k) 葉の基部、(l) 葉身細胞、(m) 葉の先端、(n) 葉基部の細胞、(o) 中肋表面:葉の腹面、(p) 中肋表面:葉の背面、(q, r) 葉の横断面

 高知県仁淀川町の安居渓谷でセンボンゴケ科 Pottiaceae らしき蘚類を採取した(alt 500m)。生えていたのは道の脇のジメジメした岩だった。茎は長さ3〜4cm、ほぼ直立し、朔をつけた個体もあった。乾燥すると、葉が巻縮し、湿ると葉を展開させる。葉は披針形で、長さ4〜6mm、基部は透明な鞘となって幅広く茎を包み込む。葉の縁は平坦で、全縁。中肋は葉頂に達する。
 葉身細胞は、上部から中部では、方形〜矩形で長さ8〜10μm、表面は多数の乳頭に被われ暗い。葉基部では大形で薄膜の矩形細胞からなり、表面は平滑。葉の基部では透明細胞と緑色細胞とが明瞭な区画をなしU字形〜V字形となって葉縁まで透明細胞がせり上がる。
 葉の横断面で、中肋の背腹にステライドが発達し、中央には明瞭な一列のガイドセルがある。中肋表面は腹面側では多数の乳頭をもつが、背面側では平滑。茎の横断面には弱い中心束が見られるが、上部の茎では中心束がない。葉のKOH反応は黄色〜黄金色。
 
 
 
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(x)
(x)
(y)
(y)
(z)
(z)
(aa)
(aa)
(s, t) 茎の横断面、(u) 胞子体、(v, w) 朔、(x) 口環、(y) 壊れた朔の残骸、(z) 朔基部の気孔、(aa) 胞子

 朔柄は赤褐色で長さ12〜18mm。朔は細長い円筒形で、長さ2〜2.5mm、長い嘴を持った蓋、僧帽形の帽をもつ。口環がよく発達している。朔歯の表面には多数の乳頭がある。胞子は球形で、径18〜22μm。葉腋毛や無性芽などはみられない。

 朔歯はすべて崩れていて、全体の形などは分からなかった。蓋や帽を伴った朔も少なかった。苞葉も崩れていたので観察は放棄した。平凡社図鑑でセンボンゴケ科の検索表をたどるとアナシッポゴケモドキ属 Pseudosymblepharis に落ちる。そこで属の解説をみると「日本産1種」とありアナシッポゴケモドキ P. angustata だけが記されている。種の解説を読むと、観察結果とおおむね符合する。図鑑によれば茎には「中心束はない」とあるが、本標本では弱い中心束がある。また葉基部の葉身細胞に関して「著しく大きく,縦壁が著しく節状に肥厚し,葉縁に向かって狭くなり,薄壁となる」とあるが、これも観察結果とはやや異なる。先にアナシッポゴケモドキと同定した標本No.905と比較してみたところ、ほぼ同一と思われた。