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以下の記事は「今日の雑記」の内容をそのまま転載したものである。

2006年10月21日()
 
コケカッター (1)
 
 コケカッターなるものを購入した。使用説明書には「双眼実体顕微鏡の下で、コケの茎や葉など、微小な植物の一部の横断切片を切り出すのに使用」し、「保育社の原色日本蘚苔類図鑑、p.370-380 に詳細されている『コケの葉の切片のつくりかた』に基づいて考案したもの」とある。ちなみに、同書には柄付き針の先端をつぶして平らにしたような器具で試料を押さえて両刃カミソリで切る様子が図示されている(雑記2006.8.17)。
 実体鏡さえ使えば、誰にでも簡単に薄片を切り出せると思ったら大間違いである。実体鏡の下で薄片を切り出すのは思いの外難しく、かなりの熟練が必要である。そこで、その作業を少しでも楽にできることを目的に考案されたのがコケカッターである、と推測される。したがって、あくまでも、双眼実体顕微鏡の下で薄片を切り出すための補助器具である。
 
 
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 届いた製品は、本体・両刃カミソリ・スライドグラス・使用説明書などからなっている(a)。コケカッター本体は、透明アクリル板上に固定されたブロックにネジ釘で両刃カミソリを装着しただけの単純なものだ(b)。カミソリは上下に動かせるようになっていて、ぐらつきにくいようにブロックには薄板状の磁石が貼り付けられている(c)。

 使用法であるが、まず、刃の下に薄手のスライドグラス(0.8〜1.0mm厚)を置き、その上にポリ袋などのマットを敷いて、そこに試料を置く。薄片切り出しは、左手で試料を押さえ、右手でカミソリの端をつまみ、「大根を輪切りにするように」押し下げて切る、と説明書にある(d〜f)。
 構造と説明を読む限り、切断方法としては、菜切り包丁などで大根や根菜類などを切る「落とし切り」ないし「押し切り」である。刺身包丁などで魚や肉などを切るときのように、向こうから手前に引いて切る「引き切り」や「削ぎ切り」をするようにはなっていない。
 実は、コケカッターが届いたのは10月初め頃だったのだが、試用してみる間もなく北海道にでかけてしまったので、未だ使っていない。つい最近になって説明を読んだり、じっくりと眺めたばかりである。明日はこれを使って試料を切り出してみようと思う。