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タカネミゾゴケなのだろうか? | |||||||||||||||||||
栗駒山の山頂近く、標高1,550mあたり、モウセンゴケなどが生育する登山道脇の転石に赤黒い色をした苔類が絨毯状に密生していた(a〜c)。その周辺の石や道脇の土に埋もれた岩などにも広範囲にこのコケが密生していた。周囲はかなりジメジメしていた。 採集したのは7月18日。持ち帰って乾燥させると真っ黒になった(d)。持ち帰った標本をすぐにルーペで見たが、黒くて火山礫性の砂にまみれて、その形態がよくわからない(d, e)。乾燥したものをみても全体が微細な砂粒にまみれてやはり形の詳細がよくわからない(f)。 とりあえず、比較的形の分かりやすいものを何本か選んで観察してみることにした。分枝は少なく、茎の長さは4〜8mm(g)、密集状態で直立して、仮根は少ない。葉は重なり合って茎に横に着き、1/3〜1/2まで二裂し、裂片の先端は円頭で、樋状に茎を包み、下部の葉の基部からは仮根が出ている(j〜l)。砂粒がヤスリの働きをしているのか、崩れていない葉はとても少ない。どうやら腹葉はなさそうなこと、雌花は茎の先端についているらしいことが分かる。 葉身細胞は平滑、薄膜でトリゴンは大きく(m, n)、丸みを帯びた多角形〜類円形で、長さ10〜20μm。油体は円形〜楕円形ないし紡錘形で、一細胞に2〜3つあり、微粒の集合のように見える(n〜p)。油体内部に眼点のようなものがあるかどうかは不明。しくじったのは、すっかり乾燥する前に高倍率レンズで油体を観察しておかなかったことだ。 どうやら雌雄異株で、ペルギニュームは雌株の先端に直立しているらしい。花被や苞葉の様子は、やはり砂粒ヤスリにこすられてか、崩れたものばかりでよくわからない。雌株先端を押しつぶしてみたところ、胞子と弾糸が沢山こぼれ出てきた(q, r) |
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ツボミゴケ科 Jungermanniaceae かミゾゴケ科 Gymnomitriaceae ではないかと見当をつけて、平凡社図鑑と保育社図鑑の検索にあたり、手当たり次第にそれらしきものにあたってみたが、よくわからない。先日、日光市の金精トンネル上で採取したタカネミゾゴケに似通っているようにも思える。この苔類もタカネミゾゴケなのだろうか? あるいはまったく別の苔類なのだろうか? | |||||||||||||||||||