2018年4月25日(水) |
これまたキャラボクゴケだった No.1227 |
先月23日に宇都宮市の多気山で採取した小さな Fissidens(ホウオウゴケ属)の蘚類はどうやらF. taxifolius(キャラボクゴケ)のようだった。昨年4月に例幣使街道で採取したキャラボクゴケより小さく、朔をつけていなかったが、検討した結果、上述の結果となった。
当初「観察覚書」にアップしようと思っていたが、すでに6点も掲載しているので、やめにしてここに結果の一部を掲載することにした。なお標本No.は1227を与えた。
保育社図鑑によれば、キャラボクゴケは「乾いてもあまりちぢれず」と書かれているが、結構よく縮れて(c)、湿時とはずいぶんと印象が異なる(d)。葉の背翼基部はたしかに茎には下延していない(g)。中肋は葉先から短く突出している(i)。葉身細胞は上翼と入翼では8〜10μmの不規則な方形〜六角形だが(j, k)、腹翼基部の細胞は際立って大きく15〜25μm、中には30μmを越えるものもある(l)。葉の断面で腹翼の細胞の表面にはコホウオウゴケのような複数の乳頭はない(p)。
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
(l) |
(m) |
(n) |
(o) |
(p) |
(q) |
(r) |
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(a) 棲息環境、(b) 近影、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 植物体、(f) 葉のサイズ、(g) 葉の背翼の茎へのつき方、(h) 葉、(i) 葉の先端、(j) 葉の縁、(k) 葉の背翼の基部、(l) 葉の腹翼の基部、(m) 葉上部の断面、(n) 葉中部の断面、(o) 葉中央下部の断面、(p) 腹翼の断面、(q) 上部の茎の断面、(r) 下部の茎の断面 |
この標本は日当たりのよいコンクリートの側溝に砂利が詰まった場所に出ていた。小砂利も一緒に採取したが、おのおの茎や葉の間には小さな泥が無数に付着していてきれいな状態の葉はなかなか得られなかった。葉の断面を切ると剃刀がたちまちナマクラになってしまった。
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