2002年12月21日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 メルツァー液(メルツァー試薬)が入手できないのでヨード反応が調べられない、どうしたものだろうか、といったメールをしばしばいただく。
 メルツァー試薬はヨウ化カリウム、ヨウ素、飽水クロラール、蒸留水を調合して作るのだが、これがなかなか面倒だ。劇薬指定の薬品は含まれる、少量では分けてもらえない、メスシリンダーなどの計量器具が必要、等々試薬の調合はアマチュアにはかなり敷居が高い。
 かつて代用品として各種のうがい薬を使っていた。[ルゴール液]、[イソジンガーグル]、[イソジン] (b)などといった商品がそれだ。これらでもある程度まではヨード反応をみることができる。先日採取したスナヤマチャワンタケを材料に、イソジンとメルツァー液を比較してみた。
 (a)は水だけで見た子嚢、(c, d)はイソジン、(e, f)はメルツァー液で染色したものだ。いずれも子嚢頂孔部が明瞭なアミロイド反応を示している。ただ、ベニタケ科の胞子表面の模様は、イソジンでは染まりにくいものもある。またルゴール液ではグリセリンを多く含むせいか微妙なところで反応しないこともある。やはり厳密な判定にはメルツァーを使わねばならないだろう。
 なお、メルツァーとはチェコスロバキアの菌学者で、彼の発明した試薬がメルツァー液だ。その人となりについては千葉菌類談話会のサイトにとても明快に解説されている。

日( )