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昨日川口市でボロボロになった古いシイタケホダ木からシトネタケ属(a, b)が出ていた。暗かったのでとりあえず持ち帰り、自宅で紙の上に置いて撮影した。4月20日菌懇会の例会(川崎市)でもシトネタケ属に出会ったが、そのときは撮影はせずにサンプルをひとつ持ち帰った。今朝両者の胞子を比べて見るとどうやら同じ種のきのこらしいことがわかった。 胞子には粗い網目模様があり、両端には何本もの刺状突起がある(c, d)。メルツァー液で染めて表面に焦点をすえると模様が明瞭に浮かび上がってきた(e)。子嚢は有弁の円筒状で先端は円く根元は細くなっている(f)。メルツァー液では反応しない。側糸は先端がわずかに膨らんだ糸状であり、托髄層から托外皮層は連続的で共に絡み合い菌組織をなしている。これらから判断してこのきのこはオオシトネタケだろう。 外見がよく似たものにフクロシトネタケがあるが、こちらの胞子はオオシャグマタケよりもさらに先端の尖った嘴状突起をもっている(g)。胞子表面は所々で繋がった疣状突起に被われている。子嚢に入った状態(i)もオオシトネタケとはかなり違う。フクロシトネタケの検鏡写真は昨年(2002)5月24日に富士山で採取したときのものだ。 この仲間のきのこはチャワンタケ類などと同じく外見だけでは同定が難しい(雑記2003/4/24)。また幼菌の胞子はみな同じように平滑な楕円形をしているので、必ず十分に成熟した個体を採取してこないと正確な同定は困難だ。 |
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