2003年8月15日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先日の千葉県外房の浜辺でスナジクズタケらしいきのこに幾つも出会った。そのうち一株を持ち帰った(a, b)。胞子紋は黒紫褐色で、胞子(c)は水でマウントしてみると暗赤褐色をしている。ヒダ切片(d)を低倍率でみたところ側シスチジアらしき姿はみあたらない。
 しかし倍率を上げてみると面白い姿の側シスチジアが多数ある(f)。薄膜で透明な紡錘形のものと、先端に結晶物を帯び茶褐色で厚膜ものがある。なお、ヒダには多数の塩化ナトリウムの結晶のらしきものが無数に含まれている(e)。この結晶が邪魔して薄い切片を切り出そうとすると組織を潰したり、引きちぎってしまう。担子器(g)を確認した後、あらためて結晶を持った側シスチジア(h, i)をよくみると、基部が子実層の中まで深く伸びている。
 ヒダの縁には紡錘形やらボーリングピンのような姿の縁シスチジアがあるが、場所によっては先端に結晶を帯びた側シスチジアと同じものが見られる(j, k)。しかし、子ヒダの中には、縁シスチジアが全く見られないものもある。傘表皮の組織(l)は風船形や紡錘形の組織からなっている。
 採取した折はてっきりスナジクズタケ(Psathyrella ammophila)とばかり思い込んでいたのだが、どうやら別種のPsathyrellaのようだ。Psathyrella ammophila (Dur. & Lev.) Ortonの記述には確か結晶を帯びたシスチジアについての記述は無かったように記憶している。

日( )