2004年9月27日(月)
 [その2]
(a)
(a)
(a')
(a')
(b)
(b)
(b')
(b')
(c)
(c)
(c')
(c')
(d)
(d)
(d')
(d')
(e)
(e)
(e')
(e')
(f)
(f)
(f')
(f')
 これまで何度かケシボウズタケ属の担子器の写真を取り上げてきたが、いずれもまともに表現できたケースは皆無だった(雑記2003.8.22同2004.6.28)。広く世界に目を向けてもW.C.Coker & J.N. Couch 1928 "The Gasteromycetes of The Eastern United States and Canada" で描かれているTulostoma simulans の担子器が唯一の図である。70年以上前に描かれたものだ。
 ほかにも何点かケシボウズタケ属の担子器を描いた図はあるが、それらのいずれもが構造を説明するための模式図であり、スケッチ的なものではない。公表された写真にいたっては皆無である。先に日本菌学会報45巻(2004年)1号に投稿した「日本産 Tulostoma striatum について」には何点かの写真を載せたが、担子器についてだけは写真ではなく図を使った。どうやっても公表に耐えうるような鮮明な写真を撮ることはできないからである。
 肉眼で微動ノブを調整しながら見ていくと、担子器、担子柄、胞子とそれぞれを鮮明に捉えることができる。しかし、どんなに高性能であろうとも光学顕微鏡で、明瞭に胞子を付けたケシボウズタケ属の担子器の姿を鮮明に撮影することは不可能である(雑記2004.9.18)。しかし、やや不鮮明であることを容認すれば撮影は可能である。
 焦点位置をずらして撮影した7〜8枚ほどの映像データを巧く合成すれば、鮮明な姿を表現することも可能だろうが、ここでは油浸100倍対物レンズでの映像(a〜f)とその一部をトリミングしたもの(a'〜f')をとりあげることにした。あえてしつこいほどに担子器ばかりを並べた。
 いずれも昨日、ひたち海浜公園で採取したナガエノホコリタケの担子器である。もちろん内部がまだ白色の幼菌を使った。大部分は短い担子柄を持つが、中にはかなり長い担子柄を持つものがあることもわかるだろう(f)。ハラタケ目のきのこの担子器とは全く異質の形をしているので、「これが担子器だ」と言われても、「へー、そうですか」としか言いようがないだろう。

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