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わが国でみられるケシボウズは、多くが類球形の胞子を持ち、表面に疣やら網目をもったタイプが多い。つい最近、これらとは全く違った形の胞子をもったケシボウズがみつかった(6/10 滋賀県)。外見はウロコケシボウズタケ(c'')やナガエノホコリタケ(a'')とよく似ているが、タネ型の胞子を持っている。SEMの10,000倍でみると表面はほぼ平滑で、平べったいタネ型ではなく、スポイトやピペットにつけるゴム乳頭をやや膨らませたような形をしている。 |
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ケシボウズタケ属はどれも同じような姿(a''〜f'')をしていて、見慣れないとどれも同じに見えてしまう。胞子を観察することは必須だが、光学顕微鏡の対物40倍では、よほど見慣れていないと違いはわかりにくい。油浸100倍にするとかなりの精度で違いがみえる(a〜f)。 胞子にはいくつものタイプがある。きちんとした報告はいずれ行うつもりだが、今朝は手元のサンプルのうちから、任意にいくつかを気紛れに並べてみた。(a)はアラナミケシボウズタケ(ナガエノホコリタケ)、(b)はケシボウズタケ、(c)はウロコケシボウズタケ、(d)はウネミケシボウズタケ、(e)はアバタケシボウズタケ[仮]、(f)は未報告種(三重県津市)の一つである。 先入観を持ってみてしまうと、(a)と(c)、(b)と(e)はOM(光学顕微鏡)レベルでほとんど同じに感じしまいそうだが、SEM(走査型電子顕微鏡)でみると、(a')と(c')、(b')と(e')はかなり違う。しかし、よくよく観察すれば、OMでもこれらの違いは楽に見分けることができる。 (f)のケシボウズの胞子は、OMでは平滑に見えても、SEMで10,000倍にすると表面に微細な突起を持っている。しかし、国内で採取されるものでこういったタイプは非常に珍しい。 ここに掲げた以外にも、わが国には何種類かのケシボウズが知られている。複数種が単一標本として扱われているケースもありうる。ケシボウズの仲間は、外見だけで同定できない。 |
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