2006年10月5日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 海辺の砂地に出るきのこの検鏡は難しい。先日持ち帰ったナヨタケ属のキノコを調べるのにひどく難儀した(a, b)。胞子紋は3年前のものと同じく黒褐色(雑記2003.6.9)。胞子もその時のものと同じように見える(c)。濃硫酸で封入すると胞子の壁や発芽孔が明瞭になった(d)。
 砂地生きのこでいつも手こずるのはヒダ切片の切り出しだ。何回も切り出しを試みたが、結局今回もやはり上手く行かなかった(e)。微細な砂粒がカミソリの刃をすぐにボロボロにする。おまけにナヨタケ属のヒダはとても脆くて潰れやすい。
 子実層托実質は並列型(f)。ヒダの側には厚膜で先端にクリスタル結晶を帯びたシスチジアが見られる(g, h)。縁シスチジアには2種類あり、側シスチジア同様のタイプと、薄膜で先端に結晶をもたないものとである(i, j)。担子器は面白い形をしている(k)。傘上表皮は類球形の組織が不規則な層をなしている(l)。
 3年前の砂地生ナヨタケ属(雑記2003.8.15)と検鏡結果はほぼ符合する。ちなみに、スナジクズタケ P. ammophila (Dur. & Lev.) Orton には、先端に結晶構造をもったシスチジアはなく、胞子に関しても、類菱形ではなく卵形をしている。このきのこは、発生環境や姿形はスナジクズタケそっくりだが、スナジクズタケとは別種のPsathyrella属菌である。千葉の海岸にはとても多い。

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