2008年10月23日(木) |
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先週土曜日に富士山で、チャナメツムタケ、キヌメリガサは多数採集できた。持ち帰ったきのこの大部分は食用に回してしまったが、それぞれ一個体ずつ別に分けて、冷蔵庫に保管してあった。今朝袋を開いてみると、まだ何とか検鏡に耐え得そうなので、覗いて楽しんだ。
とりあえずチャナメツムタケ(a)をみた。ヒダの付き方は垂生気味の直生(b)、カサ表皮は白いカサ肉の上に、ヌメリの強い薄膜を被せた状態で、簡単に剥がれる(c)。時間経過でヒダはかなり老朽化していたが、何とか断面を切り出した(e)。ウジ虫片も一緒に剃刀についてきた。
縁シスチジアと側シスチジアがあり両者ともほぼ同じかたちのフラスコ形をしており、ヒダ実質は並列型(f)。側シスチジアには2種類あり、白色透明のタイプ(g)はフロキシンで染まり(h)、KOHで黄金色に見えるタイプ(i)はフロキシンでも染まらない(j)。先端付近をリング状に取り囲むように老廃物のようなものがあるが、KOH中ではやがて溶けてしまう。
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
(l) |
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薄く剥がれるカサ表皮は色素顆粒を帯びた細長い菌糸からなるようだ(k)。担子器も覗いてみた(l)。なお、チャナメツムタケを検鏡したのは、ほぼ3年ぶりのことだ(雑記2005.11.10)。ずっと疑問を抱きつつ、3年前から今日まで、Pholiota lubrica (チャナメツムタケ?) の原記載には全くあたっていない。ここでもとりあえず本標本をチャナメツムタケとしておこう。
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