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先日千葉県の清和県民の森でクロハナビラタケを採集したので、捨てる前に顕微鏡で覗いて遊んだ。外見がよく似ているクロハナビラニカワタケとの比較は、雑記2003.4.2でやっているが、クロハナビラタケを検鏡するのはほぼ2年ぶりだ(同2007.3.17)。 紙袋に容れて持ち帰ったのだが、とてもよく乾燥しているせいか、袋の底には小さな欠片がいくつも落ちていた。これに70%エタノール、3%KOHをかけてみた。エタノールでは緑褐色、KOHでは赤紫色の色素が滲み出した(b)。乾燥した標本はカミソリをあてるだけで粉々に砕けてしまう。水に浸してしばらく待ったが一向に埒が明かない。そこで、熱湯に浸すと褐色の色素を出してやわらかくなった(c, d)。これでようやく実体鏡下で切片を切り出すことができた(e)。 |
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花びら状の部分の片側だけに子実層をつくる(e, f)。キクラゲ同様に、薄く切るのは難しい。メルツァー液を加えて子嚢を見た。子嚢は非アミロイド(g)。つぎに新たに切り出した切片をKOHで封入すると、子嚢や菌糸が赤紫色に変色しコントラストがはっきりした(h)。
小さなソーセージ形の胞子は分かりにくく、側糸の先は円弧を描いている(i)。子嚢の基部や周辺の造嚢糸には、担子菌のクランプによく似たクロージャー(crozier : フック、鈎状構造、笏杖ともいう)が多数見られる(j, k)。しかし、子実層托実質や托外皮などにクロージャーはない。 | ||||||||||||
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