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図鑑やモノグラフには詳細な描画イメージによる検鏡図はあるが、検鏡写真を載せたものは少ない。描画イメージとは、微動ノブで合焦位置を上下しながら観察し、全体像を頭の中で組み立て、それを一枚の描画として表現したものだ。 高倍率になるほど合焦深度が浅くなるので、焦点のあった部分だけしか明瞭には見えない。たとえばホンシノブゴケの葉身細胞のように、大きな歯牙状突起を持ったものでは、合焦位置の異なる画像を別々に撮影したり、ヒロハヒノキゴケの葉縁の二重の歯を表現するのに、撮影方法に工夫をこらさないと、うまく表現できないことになる。 したがって、実際に光学顕微鏡でミクロの姿を覗いても、図鑑にあるような描画イメージが見えるわけではない。だから、光学顕微鏡による観察では、微動ノブで対物レンズを上げ下げしながら観察する必要がある(「「きのこの話題」→「顕微鏡の焦点深度」)。
複数の画像を合成して、全体にピントの合った画像を作成するソフトがある。胞子の表面模様を撮影した画像と、輪郭部を撮影した画像を合成すると、胞子全体にピントの合った画像が得られる。合成ソフトにもピンからキリまであって、できのよいソフトだと、複数のオリジナル画像の撮影位置が多少ずれていても、それを補正した上できれいに合成してくれる。 |
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