2010年5月24日(月)
 
一枚の画像で表現
 
 オオワライタケの胞子は、表面が細かい疣に覆われている。しかし、胞子そのものが小さいこともあって、対物40倍レンズではわかりにくい。そこで、油浸100倍レンズを使うことになるが、この倍率になると焦点深度が非常に浅い。胞子表面の疣に合焦すれば輪郭部はボケる、輪郭部に合焦すれば表面の疣は見えなくなる。そこで、微動ノブを上下に動かしながら、頭の中で全体像をイメージすることになる(雑記2009.4.13同2004.9.18同2004.6.2同2004.5.11)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 胞子サイズを計測するには、封入液を必要最少限にして、視野の胞子がほとんど横に寝た状態になるようにしてから、胞子の輪郭部に合焦して計測する必要がある(a, b3)。
 一方、一枚の画像に胞子の表面模様と輪郭部の両者を表現したい場合がある。こんな場合、(A) 専用ソフト等で複数の画像を合成する、(B) 複数の画像を列挙する、(C) 一画面を分割して複数の画像を収める、などいろいろ考えられる。
 (A)は高価なソフトを使うか、高度な技術が必要となる。そして結果はやや不自然さが残る。(B)は多くの画像が並んで煩わしい、(C)は一つひとつが部分表現となって見づらい。そうなると、最も簡単で実用的なのは、(D) 封入液をやや多めにして胞子の合焦位置が異なった状態を作って撮影することだろうか(c)。ただ、この場合胞子サイズを計測するには適さない。
 ヒダ切片(d, e)とヒダの縁の写真(f)もオオワライタケのものだ。子実層の様子は、きれいでも厚手の画像(e)よりも、一部欠損していても薄い画像(d)の方が正確に観察できる。縁シスチジアの有無と形もはじめから染色してしまった方がわかりやすい(f)。

日( )
HOME